シュリンクトゥフィット

食べ物に旬や食べ頃があるように、衣服にだって旬や食べ頃(1)があると思う。服はけっして買った時がベストの状態ではない。何度もガンガン着て洗って、ようやく自分の体に馴染んでいくものなのだ。そう、まさにシュリンク&フイット。Tシャツなら襟が緩んで、少々のシミが付いているくらいが個人的には食べ頃。シャツも同様で徹底的に着倒すことで、シャツの方から自分の体に寄り添ってきてくれる。これはファストファッションの1990円のシャツでもイタリー製の25000円のシャツでも同じこと。

(1)流行りとは違う意味合いで、生地が身体に馴染んだ時と考えて欲しい

 

Tshirt

また既製服の規格というものは、同じ表記サイズであっても肩幅、身頃、袖丈などはメーカーにより異なる。サイズ表記はあまり意味がないと考えた方がいい。
ドレスシャツが分かりやすいので一例として挙げてみると、私の襟周りのサイズは以前、シャツをオーダーをする際に測ってみたところ、39だった。しかし同じ39でも袖丈はS社とU社で2.5cmも程度違うなんてことは普通で、ましてや肩幅、身頃、アームホールの感じなども含めるとS社で41がジャストだったのが、U社では39がジャストなんていうことは日常茶 飯事。

これにインポートや、かつてよく流行ったショップ別注モノまで加えると既製服のサイズ表記はカオスであり、複雑極まりないものになる。だから徹底的に着倒すことで自分のサイズ感に合わさねばならない。これは実際に販売の現場で様々なシャツを売って、また自分でも様々なシャツを着倒してきた個人的実体験から言えること。

では既製服を買う際にどのようなサイズ基準で選べばいいのだろうか。
古着はすでに着倒されているから、食べ頃についてはあまり深く考えなくていいが、新品の場合はその後に洗濯を繰り返す過程で縮み色あせる(2)。 そして自分の体で熟成させていくのだから、数年後にどうなっているかを想像して選択した方がいい。
ドレスシャツに関しては、どんな既製服であっても試着は絶対に必要である。ドレスシャツはボタンを外してもらったりと試着に手間もかかる。ましてインポートだと箱や袋に包んである場合が多い。だからといって怯んではいけない。店員を呼んで必ず試着をする。そして試着室の位置から確認するだけでなく、多少(2~3m)離れた位置からも確認する。また自分の規定サイズの一つ上下も時間に余裕があれば確認しておきたい。

(2)販売員をしていた時によく訊かれた質問に「この服は洗ったら縮みますか?」 というのがあった。どんな衣服も(素材がコットンでも麻でも化繊混であろうと)、洗剤等の影響を受けて、皆さん方の想像以上に縮むものなのだ。「縮まないです」と堂々という店員は勉強不足か、ゴリ押しが強いか、店の意向か、いずれにせよそのような嘘八百をいう店で買うのは危険行為そのものなので止めた方がいい。

私はこの春夏、服を一枚も買わず、手元にあるものを育てることに注力した。たしかに新しい服を買うことはもちろん楽しい行為である。しかし育成選手から数年間、大事に育て上げて、ようやく一軍に上がった服を着ることも、私にとってこの上ない楽しみであり小さな幸せなのだ。

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あだちたかや

著者: あだちたかや

百貨店勤務からのセレクトショップ店員