JUL.31.2014 更新
TRANSTYLE.JPのタイトル画像などに使っている字体はKabel(Kabel)というもので,これは有料の欧文フォント。非の打ち所がないほど美しくて罪なほどかわいい,と個人的に思っている。フォントにこだわらないのは,罪だと思う。
Kabelは大好物だから名刺やプレゼン資料などでも(使っても大丈夫だろうって範囲)で多用している。もちろん,わざわざお金を出して手に入れたものだから使い倒さないと無駄遣い感がものすごいことになるという気分の問題もある程度関係していることは否定しない。そうは言っても,そもそも一目ぼれしたから買ったわけでその辺の要因の大小や前後関係みたいなものはこの際どうでもいい。
かわいいかどうかの規準は好みの問題だから説明のしようがないけれど,ひとついえるのはジオメトリックなデザインで細ければ細いほどかわいいということ。そもそも細いウェイトが用意されていないフォントは基本的に好きじゃないかもしれない。
ちなみに日本語フォントはイワタ細明朝とイワタ中ゴシックが大好物で,いわゆる「とめ,はね,はらい」の比類なきシャープさが美しい。イワタのフォントははかわいいというよりもセクシーと表現した方がいいかもしれない。知的な文章にも使えるから,「MS 明朝10.5pt」みたいな萎える指定がない限りでデフォルトで使っている。有料フォントだしヒラギノみたいに広く知られているわけではないけれども,出版社なんかは所有しているから著者校正等のやりとりで困ったことは今のところない。
Macの標準フォントであり日本語フォント最強といわれている「ヒラギノ」も美しいと思うし可読性という点では優れているのは否定しない。けれども,ちょっとマッチョすぎるというかパワフルすぎるというか,ようするに個人的な分類ではオラオラ系フォントなのでそこまで好きではない。ウェイトを落としても個人的には太すぎるので,和文フォントなら小塚ゴシックのELやLの方が細くて美しい。
ここからが本題。
以下,細くて最高にかわいい欧文フォント集(サンセリフ篇)
Kabelのかわいさは他を圧倒する。かわいいだけじゃなくてセクシーだし,主張もする。Kabelには改訂版のITC Kabelというものもあってそれなりにかわいいけれども,小文字がより大きくなるなどして主張が抑えられてしまい物足りない。しかもFamilyからLightが追放されてしまったようで,非常に残念。KabelはアメリカのTVネットワーク「NBC」のロゴに使われている。
KabelとITC Kabelの比較
改訂版のTTC Kabelはいわゆるエックスハイトが高くなっているのがすぐにわかる。
可読性は増したのかもしれないが,主張が抑えられてしまい,あまりかわいくない。”Kabel”と記した時に違いがよくわかる。フォント名をアルファベット表記した際に,その特徴が端的にわかるようにネーミングされていると書体そのものの存在感が増すと思う。
Century Gothic(センチュリーゴシック)もかわいい。Officeが入っていれば自動でインストールされるため本当は無料ではないが無料みたいなもので,持っている人は多そう。ちなみにCentury Gothic union(http://argentum.seth.jp/cg/)というファンサイトも存在する。 Century Gothic(センチュリーゴシック)はFuturaと似ているといわれることが多いけれども,むしろ比べられるべきはAvant Gardeだと思う。これについては比較記事を書いたので参考にされたい。
Century GothicとAvant Garde Gothic―フォント比較
http://annex.transtyle.jp/columns/typography/1622
こちらはマックなフォントたち
有名すぎて説明不要のHelveticaちゃんも細くないとだめ,かわいくない。
FuturaたんはLouis Vuittonのロゴなんかにも使われている人気者。
KabelとFurutaの誕生は共に1927年で,Erbarというフォントからの影響が認められるらしい(1)。
(出典は不明だが)OS別のフォント普及率が調べられるサイト
http://cssfontstack.com/
Helvetica: Mac100%, Win 7.34%
Futura: Mac: 94.41% Win 1.26%
Century Gothic: Mac 53.15%, Win 87.62%
意外とセンチュリーゴシックちゃんが健闘しているけれども,WinもMacもみんなが表示できるほど普及していなくてなんとも中途半端なところが,かわいい。
まあ,優秀なフォントはたいてい有料で高額だから,本気で収集するとなるとそれなりの気合いと財力が必要になる。わたしは気にせず買いまくるけれど。たとえるならば,10万で新品のPCを買うくらいなら2万の中古でいい,なぜからコーヒーをこぼして再起不能になるかもしれないから。そのかわりフォントはがんがん買う。高いか安いかは買ってから考える。高級筆記具も買いまくる。理解されなくても買いまくる。ショッパホリックだと思われようが,かわいかったら買う。
※註 画像で用いた和文フォント
1.イワタ中ゴシック体V3
2.イワタ中丸ゴシックV3
3.小塚ゴシックPr6N L
4.小塚ゴシックPr6N EL
(1)たとえばセンチュリーゴシックがFuturaの真似だとか言われることがあるけれども,あれとこれが似ているとかどっちが元祖なんていう議論はほとんど無意味なことが多いし,Futuraをジオメトリックフォントの起源とする巷間の思い込みも間違いで,Erbarフォントこそがジオメトリックフォントの祖なのである。もう,erbarの影響力が偉大すぎてその収める射程はあまりにも広く,FuturaもSpartanもTwentieth CenturyもCentury Gothicも,他のあまたのフォントもErbarの影響下にある(らしい,ソースはwikipedea英語版)。
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・サッカー・イタリア代表のユニフォームに採用されているフォントがかっこいい
参考
http://en.wikipedia.org/wiki/Erbar_%28typeface%29
http://en.wikipedia.org/wiki/Kabel_%28typeface%29